
「自分のいびきで目が覚めた…」そんな経験に、驚いたことはありませんか?
通常、眠っている間は音に気付かないはずなのに、自分のいびきで目を覚ますのは、体からの異常のサインかもしれません。
この記事では、「自分のいびきで目が覚める」という現象がなぜ起こるのか、そのメカニズムと根本的な原因を詳しく解説します。
さらに、ご自身でいびきをチェックする方法、今日から始められる対策法から、専門の医療機関での検査・治療法まで、網羅的にご紹介します。
なぜ自分のいびきが聞こえるのか?
睡眠中に自分のいびきが聞こえるのかについて解説していきます。
睡眠が浅いから聞こえる
通常、深い眠りに入っていると外界の音に対する感覚は鈍くなります。
しかし、ストレスや体調不良などで眠りが浅いと、自分の発するいびきの音でも覚醒する可能性があります。
眠りが浅い状態では、ちょっとした物音にも敏感になるため、自分のいびきによって目が覚めてしまうケースは珍しくないでしょう。
いびきの音量が大きいから目が覚める
いびきの音量が非常に大きい場合も、目が覚める原因になります。
いびきの音の大きさは、気道の狭さの度合いに比例します。
肥満や飲酒、鼻づまりなどによって気道が著しく狭くなっていると、空気が通る際の振動も激しくなり、大きな音量に達することも考えられるでしょう。
大きな音が耳元で鳴っていれば、どんなに深く眠っていても、脳が覚醒してしまう可能性があります。
呼吸停止後の「覚醒反応」で目が覚める
呼吸停止後の「覚醒反応」で目が覚める場合は最も注意すべきです。
いびきがしばらく止まった後、「ガガッ」「グォッ」という、あえぐような大きな音とともに呼吸が再開するとき、その衝撃で目が覚めてしまいます。
これは、「無呼吸」の状態に陥ったため、脳が生命の危機を察知して身体を強制的に目覚めさせ、呼吸を再開させようとする「覚醒反応」が起きていると考えられます。
「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の典型的な症状であり、極めて危険なサインになるため、専門機関への受診が必要です。
自分のいびきで目が覚める7つの原因
なぜ気道が狭くなり、自分のいびきで目が覚めるほどの状態になってしまうのでしょうか。
その背景には、以下のような原因が隠れています。
疲労やストレス
過度な疲労や精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、睡眠の質を低下させます。
睡眠の質が低下すると眠りが浅くなるため、自分のいびきを認識しやすくなるでしょう。
過度な疲労はグッと眠れそうな気がするかもしれませんが、精神的なストレスも併発している可能性が高く、睡眠の質が低下する傾向があります。
飲酒・喫煙・睡眠薬
飲酒や喫煙、睡眠薬の服用によって、いびきを誘発させている可能性があります。
飲酒は筋肉の緊張の緩みを招き、喫煙は気道の粘膜に炎症を起こすため、いびきの悪化を促進させている可能性があります。
睡眠薬も深い眠りに誘導する一方で、筋肉の緊張を緩めるものがあり、いびきを悪化させるケースも少なくありません。
肥満・加齢・筋力低下による気道の狭小化
肥満や加齢、筋力低下はいびきを悪化させる大きな要因となります。
肥満、特に首周りの脂肪は、気道を内側から圧迫する大きな原因です。
また、加齢による舌や喉の筋力低下も大きな要因です。
睡眠中は特に筋肉が緩むため、舌の根元が喉の奥へと落ち込みやすくなり、気道を狭めてしまいます。
鼻づまりと口呼吸
睡眠時に口呼吸になるといびきをかきやすくなります。
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)、鼻中隔弯曲症などで鼻が詰まっていると、無意識のうちに口で呼吸する「口呼吸」になります。
口呼吸になると口が開き、舌が喉の奥に落ち込みやすくなるため、いびきの直接的な原因となります。
また、口呼吸によって口内が乾燥すると、いびきの音がより大きくなることもあります。
骨格的な特徴
顎が小さい、下顎が後退しているといった骨格的特徴があると、舌が気道を塞ぎやすくなり、いびきをかきやすくなります。
生まれつきの骨格も要因の一つといえるでしょう。
特に日本人は欧米人と比べて顎が小さい傾向にあるため、いびきに悩む方が多いと言われています。
仰向け寝の習慣
仰向けに寝ると舌が重力によって喉の奥に落ち込みやすくなります。
これにより気道が狭まり、いびきが大きくなります。
横向き寝に比べていびきが悪化しやすい姿勢です。
女性ホルモンの変化
女性ホルモンの変化はいびきにも影響すると言われています。
特に閉経後の女性はホルモンバランスの変化により、筋肉がゆるみやすくなります。
その結果、気道が狭くなり、いびきが出やすくなる傾向があります。
そのため、若い頃はいびきと無縁だった方が、更年期を境に悩まされるケースは少なくありません。
自分のいびきをチェックする方法
「自分のいびきは、普段どれくらいひどいのかな?」と気になったら、まずは客観的に状態を把握してみましょう。
家族・パートナーの証言
可能であれば、一緒に寝ている家族やパートナーに、いびきの様子を聞いてみるのが最も手軽で確実です。
単に「うるさい」だけでなく、「息が止まっているように見える時はないか?」「苦しそうにしていないか?」といった具体的な質問をしてみましょう。
睡眠中のことは自分では全くわからないため、こうした客観的な観察は非常に貴重な情報となります。
スマホアプリ
最近では、睡眠中の音を録音・分析してくれるスマートフォンアプリが多数あります。
アプリによって精度は異なりますが、いびきのチェックとしては手軽に導入できる方法です。
いびきの音量や頻度、時間帯などをグラフで可視化してくれるものもあります。
特に「いびきが途中で数秒〜数十秒間止まり、その後大きな音で再開する」といったパターンが記録できるものもあるため、睡眠時の無呼吸の可能性を知る手がかりになるでしょう。
医療機関での検査
最も正確に状態を把握できるのが、医療機関での専門的な検査です。
いびきの音だけでなく、睡眠中の呼吸の状態、血中の酸素濃度、脳波などを詳細に調べ、いびきの重症度や睡眠時無呼吸症候群の有無を診断できます。
後述するように、最近では入院せずにご自宅でリラックスして受けられる精密検査もあります。
いびきが気になる方は、専門機関での早めの受診がおすすめです。
いびきに気づいたら試したいセルフケア7選
専門的な治療が必要になる前に、まずは生活習慣の見直しで改善できることもあります。
今日から始められる対策を試してみましょう。
適正体重を維持する
肥満傾向にある方は、減量が最も効果的ないびき対策です。
いびきの根本的な解決になる可能性があります。
首周りについた脂肪は物理的に気道を圧迫するため、体重が減ることで気道が広がり、呼吸がスムーズになります。
バランスの取れた食事と、ウォーキングなどの有酸素運動を組み合わせ、無理のない範囲で体重をコントロールしましょう。
寝る前の飲酒をやめる
アルコールには舌や喉の筋肉を弛緩させる作用があり、いびきの大きな原因となります。
これにより舌が喉の奥に落ち込み(舌根沈下)、気道を狭めてしまうのです。
喉の筋肉の過度な弛緩を防ぐため、就寝の3〜4時間前からはアルコールの摂取を控えましょう。
禁煙にチャレンジする
喫煙は喉の粘膜に慢性的な炎症や腫れを起こし、気道を狭くする原因となります。
また、タバコの煙は痰の分泌を促すため、それらが気道に絡むことでさらに空気の通りが悪くなります。
いびき改善だけでなく、全身の健康のためにも、徐々に禁煙していくことがおすすめです。
横向きで寝る
仰向け寝を避け、横向きで寝る習慣をつけましょう。
舌が喉に落ち込むのを防ぎ、気道を確保しやすくなります。
抱き枕や背中にクッションを挟むと、寝返りを打っても横向きをキープしやすくなります。
枕の高さを調整する
自分に合った高さの枕を使いましょう。高すぎても低すぎても気道を圧迫します。
理想は、立っている時と同じ自然な首のカーブを保てる高さです。
バスタオルを畳んで高さを調整し、最も呼吸が楽なポイントを探してみるのも良い方法です。
鼻の通りを良くする
鼻づまりはいびきの大きな原因です。
鼻うがいで鼻の中を清潔に保ったり、アレルギーがある場合は抗アレルギー薬を使用したりするのも有効です。
市販の「鼻腔拡張テープ」などもありますが、医療機関への早めの受診をおすすめします。
鼻呼吸を意識する
日中から意識的に鼻で呼吸する癖をつけましょう。
睡眠中は、薬局などで手に入る「口閉じテープ(マウステープ)」を使用すると、睡眠中の口開きを防ぎ、自然な鼻呼吸を促すのに役立ちます。
セルフケアで改善しない場合は医療機関へ
いびきはセルフケアによって改善しないケースもあるため、気になる方は早めの医療機関への受診をおすすめしています。
その理由について、以下にて詳しく解説していきます。
睡眠時無呼吸症候群の可能性
「自分のいびきで目が覚める」というのは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の非常に重要なサインです。
SASは、睡眠中に呼吸が止まって身体が深刻な酸欠状態に陥り、心臓や血管に大きな負担をかけ続けます。
「いびきだから」と放置する方もいますが、睡眠時無呼吸症候群は病気の一種です。
少しでも早く、専門機関への受診が必要となります。
睡眠時無呼吸症候群によるリスク
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、高血圧や心筋梗塞、脳卒中といった命に関わる生活習慣病のリスクを健常者の数倍に高めるとわかっています。(1)
また、日中の耐えがたい眠気は、交通事故や労働災害の原因ともなり得ます。
「たかがいびき」ではなく、治療が必要な「病気」であるという認識が何よりも大切です。
当クリニックで検査する際の流れ
当クリニックでは、患者様のご負担を最小限に抑えるため、ご自宅でリラックスして受けられる精密検査を実施しています。
1 クリニックにて問診診察
2 検査の申し込み
3 ご自宅に検査機器をお届けして、検査実施
4 機器の回収と解析
5 クリニックにて結果説明
入院が不要なため、お仕事や日常生活への影響を最小限にでき、入院費用もかかりません。また、いつもお使いの寝具でリラックスして検査を受けていただけるのも、在宅検査の大きなメリットです。
検査後に検討される主な治療法
検査の結果、睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、その重症度に応じて以下のような治療法が検討されます。
いずれも健康保険が適用されます。(2)
①CPAP(シーパップ)療法
中等症〜重症のSASに対する最も標準的な治療法です。
鼻に装着したマスクから空気を送り込み、物理的に気道が塞がるのを防ぎます。
②マウスピース(スリープスプリント)
軽症〜中等症の方向けの治療です。
歯科でオーダーメイドのマウスピースを作成し、睡眠中に装着して下顎を少し前に出し、気道を広げます。
③外科手術
扁桃腺が大きい、鼻の骨が曲がっているなど、いびきの原因が物理的な構造にある場合に検討されます。
※治療に関するご注意
上記の治療法には、それぞれ期待できる効果がある一方で、副作用やデメリットも存在します。
例えば、CPAP療法ではマスクの違和感や皮膚トラブル、マウスピース治療では顎関節への負担、外科手術では術後の痛みや合併症などが考えられます。
どの治療法が最適かは、患者様の症状やライフスタイルを総合的に判断して決定します。
診察の際に、それぞれの治療法の利点と欠点について医師が詳しくご説明しますのでご安心ください。
まとめ
今回は睡眠中に自分のいびきが聞こえて起きてしまう原因について解説してきました。
「自分のいびきで目が覚める」現象は、あなたの身体が発する「睡眠に問題が起きている」というサインかもしれません。
そして、その背景には、睡眠の質を著しく低下させ、将来の健康を脅かす「睡眠時無呼吸症候群」が隠れているケースがあります。
まずは、この記事でご紹介したセルフケアを試してみてください。
そして、少しでも不安が残る、症状が改善しないという方は、一人で悩まず医師に相談することをおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群と診断されても、正しい検査と治療を受ければ、いびきの悩みから解放され、快適な夜を取り戻すことは十分に可能です。
当クリニックでは、専門の医師があなたの不安に寄り添い、最適な解決策を一緒に見つけていきます。
気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。
いびき・睡眠時無呼吸症候群外来について
よくある質問
自分のいびきで目が覚めるのは、病気ですか?
必ずしも病気とは限りません。
極度の疲労や深酒など、一時的な原因で起こることもあります。
しかし、この症状が週に何度も起こる、あるいは日中の強い眠気などを伴う場合は、治療が必要な「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の可能性が高まります。
気になる症状が続く場合は、一度専門医に相談することをおすすめします。
家族に指摘されてスマホアプリで録音したら、呼吸が止まっていました。すぐに病院に行くべきですか?
アプリの録音で呼吸が止まっていることが確認できた場合、睡眠時無呼吸症候群である可能性が非常に高いです。
放置すると心臓や血管に大きな負担がかかり続けます。
できるだけ早く専門の医療機関を受診してください。
病院での検査や治療は、保険は適用されますか?
医師の診察の結果、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の疑いがあると診断されれば、その後の精密検査は健康保険が適用されます。
さらにSASと確定診断された場合、CPAP療法やマウスピース治療といった主要な治療法も、保険診療として受けることができます。
【参考文献】
(1)Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study
(2)日本呼吸器学会. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020.
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