
会議中に意識が飛びそうになったり、パソコンの前で何度も瞬きを繰り返したりと「昼間の眠気」に悩んでいませんか?
昼間の眠気が続くため、十分に睡眠をとったはずなのに、なぜか日中に強い眠気が襲ってくる。
実はその原因、単なる疲れではなく、睡眠の質や生活習慣、さらには体の不調が関係している可能性があります。
この記事では、今すぐ試せる眠気対策から、根本的な改善に向けた生活習慣の見直し、そして医療機関を受診すべきケースまで、詳しくご紹介します。
「昼間の眠気に耐えられない」と悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ昼間に強い眠気が起きるのか?
昼間の眠気には、単なる寝不足だけではなく、睡眠の質や体のリズム、さらには病気が関係している可能性があります。
ここでは主な5つの原因について解説します。
昼食による血糖値の変動
昼食後の血糖値が大きく変動することにより、昼間に強い眠気に襲われる可能性があります。
食事、特に炭水化物を多く摂ると血糖値が急上昇し、それを下げるためにインスリンというホルモンが大量に分泌されます。
すると、今度は血糖値が急降下し、その変動がだるさや眠気を引き起こすのです。
また、血糖値が上がると、脳の覚醒を維持する物質「オレキシン」の働きが鈍くなることも、食後の眠気の一因とされています。
一時的な睡眠不足や疲労
夜更かしや寝つきの悪さが続くと、当然ながら睡眠時間が足りなくなり、翌日に強い眠気を感じやすくなります。
また、精神的ストレスや身体の疲労も、深い眠り(ノンレム睡眠)を妨げ、疲労回復が不十分になってしまう場合があります。
年齢を重ねるにつれて、疲労の回復や睡眠不足の解消がしにくくなる傾向があるため、1日十分に睡眠をとったとしても、日中に眠気が襲ってくることがあるでしょう。
睡眠の質が悪い
下記のような要因で眠りが浅くなっていると、脳と身体が十分に休息・回復できず、日中の眠気に繋がります。
- 寝る前のスマホの使用
- 寝る前の飲酒
- 騒音
睡眠の質を悪くしている原因がわかりにくいこともあり、対処しにくいという特徴もあります。
体内時計(概日リズム)の乱れ
人間の身体には「朝に覚醒し、夜に眠くなる」という24時間の生体リズム(概日リズム)が備わっています。(1)
夜遅くまでスマホやパソコンを使う、朝日を浴びないといった生活が続くと、このリズムが崩れ、日中に強い眠気を感じる原因になります。
体内時計が乱れる方は夜ふかしする傾向があり、昼間の眠気がより強く出やすくなるでしょう。
隠れた睡眠障害の可能性
一見健康に見えても、睡眠障害が潜んでいるケースもあります。
十分眠っているつもりでも、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、過眠症、うつ病などの疾患によって睡眠の質が悪くなっている可能性があります。
そのため、日中に強烈な眠気を引き起こす恐れがあるでしょう。
仕事中の眠気を覚ます対策3選
「今、この眠気をなんとかしたい!」という時のための、即効性が期待できる対策を3つご紹介します。
ただし、日中に毎日眠気がある場合は、睡眠障害の可能性もあるため、医療機関への相談を検討することもおすすめです。
対策①15~20分の「パワーナップ(仮眠)」をとる
眠気対策として効果的なものの一つが「パワーナップ」と呼ばれる短時間の仮眠です。(2)
パワーナップの継続によって、午後の集中力や判断力が大幅に高まりやすくなると、さまざまな研究で報告されています。
| 項目 | 内容・ポイント |
|---|---|
| 仮眠時間の目安 | 15~20分程度 |
| 姿勢 | デスクにもたれる、リクライニングチェア、座ったままでもOK。横になる必要はない。 |
| 環境 | アイマスク、耳栓で光・音を遮断すると効果アップ。 静かな場所を選ぶ。 |
| 起床後のポイント | 仮眠後は軽く伸びをする、顔を洗う、冷たい水を飲むなどしてスッキリした覚醒が大切。 |
| カフェイン活用 | 仮眠前にコーヒーを1杯飲むと、起きる頃にカフェインの効果が現れるため、目覚めやすくなる。 |
対策②カフェインを賢く利用する
カフェインが効果を発揮するまでには約30分程度かかるため、「眠くなる前に飲む」のがポイントです。
カフェインについてはコーヒーだけでなく、緑茶や紅茶にも含まれています。
また、夜の睡眠への影響を考えたときに、コーヒは就寝8.8時間前は摂取しないほうが良いとの研究も報告されています。(3)
そのため、夕方以降のカフェイン摂取は睡眠の質を悪くしてしまう可能性があるため、午後3時以降の摂取を控えることがおすすめです。
対策③軽い運動やストレッチで脳を覚醒させる
じっと同じ姿勢でいると、血行が悪くなり脳の働きも鈍くなります。
簡単な動きで身体に刺激を与え、脳をリフレッシュさせましょう。
①デスクでできること
- 肩や首をゆっくり回す
- 机の下で足首を回す
- 背伸びをする
②少し席を立つ
- 廊下を1~2分歩く
- トイレに行く
- 飲み物を買いに行く
少しでも体を動かしたり、ストレッチをするだけで眠気が落ち着く場合があります。
眠気の根本にアプローチする生活習慣4選
昼間の眠気を一時的にしのぐだけでは、根本的な解決にはつながりません。
ここでは、眠気改善につながる4つの習慣をご紹介します。
「睡眠の質」を高める夜の習慣
質の高い睡眠は、日中の眠気対策の基本です。
以下のポイントを参考に、夜の習慣を見直してみましょう。
| 項目 | 方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 入浴 | 就寝1~2時間前、ぬるめのお湯で入浴 | 人は身体の中心部の温度(深部体温)が下がるときに眠気を感じる。入浴で体温を上げ、それが下がるタイミングで布団に入るのがおすすめ。 |
| デジタルデトックス | 就寝の1時間前には、スマホやPC、テレビを見ない | 画面が発するブルーライトは、睡眠を促す「メラトニン」というホルモンの分泌を抑制する。 |
| 寝室環境 | ・遮光カーテンやアイマスクで光を、耳栓などで音を遮断する。・快適だと感じる温度・湿度に調整する。 | 脳がリラックスし、深い眠りに入るには、「静か・暗い・快適な」環境が必要。 |
「食事」のタイミングと内容の見直し
食事も眠気と密接に関係しています。
特に昼食後に強い眠気を感じる人は、「糖質の摂りすぎ」に注意しましょう。
白米、パン、甘いお菓子を多く食べると血糖値が急上昇し、その後急降下する際に強い眠気が現れやすくなります。
おすすめは、「ゆっくり噛んで食べる」「タンパク質・野菜をしっかり摂る」「血糖値が安定しやすい低GI食品を選ぶ」です。
夜遅い時間の食事は睡眠の質を下げるため、就寝の2〜3時間前までに済ませるのが理想です。
「太陽の光」を浴びて体内時計を整える
朝に強い光を浴びると、体内のメラトニン(眠気を促すホルモン)の分泌リズムが整い、夜の睡眠の質が上がるといわれています。
朝起きた時にカーテンを開けて日光を浴びるだけで、体内時計がリセットされ、夜に自然な眠気が訪れやすくなります。
適度な運動を習慣にする
日中に軽く体を動かすと、夜に心地よい疲れが生まれ、入眠がスムーズになります。
ウォーキングやストレッチ、軽い筋トレなどの習慣化で、血流も良くなり、昼間の眠気の予防にもつながると考えられます。
就寝直前の激しい運動は交感神経を刺激し、逆に眠りにくくなる可能性があるため注意しましょう。
セルフケアで改善しない眠気は、病気のサインかも?
生活習慣を整えても眠気が改善しない場合、何らかの病気が関係している可能性があります。
特に以下のような疾患は、夜間の睡眠の質が下がったり、脳がしっかり休めなかったりするため、昼間に強い眠気が現れる原因になり得ます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなったりするため、脳と身体が深刻な酸欠状態に陥る病気です。
大きないびきを伴うケースが多く、深い睡眠が全く取れないため、日中に強烈な眠気が現れるケースが多くみられます。
過眠症(ナルコレプシーなど)
過眠症は、夜に十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に社会生活に支障をきたすほどの強い眠気が現れる病気の総称です。
主に以下の2つのタイプに分けられます。
①ナルコレプシー症
日中に突然、抗いがたい眠気に襲われ、数分から数十分ほど眠り込んでしまうのが特徴です。
また、笑ったり驚いたりしたときに体の力が抜けてしまう「情動脱力発作(カタプレキシー)」を伴うケースもあります。
②特発性過眠症
ナルコレプシーのような突然の眠気ではなく、日中ずっと眠気が持続し、一度昼寝をしてもスッキリしないのが特徴です。
夜間の睡眠時間が10時間以上と長くなる傾向もあります。
いずれのタイプも、脳の覚醒を維持する機能に何らかの問題があると考えられています。
うつ病
うつ病では、不眠や早朝覚醒に加え、眠っても疲れが取れない傾向がみられます。
レム睡眠の割合が増え、睡眠が浅くなりがちで、夜間の休息が足りないまま日中を迎えてしまいます。
強い眠気のほか、意欲低下や思考力の鈍さなどを伴うケースも少なくありません。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、体全体の代謝が落ちて疲れやすくなり、日中の眠気にも繋がります。
睡眠時間は確保しているのに「ずっとだるい」「頭がぼーっとする」といった症状が続く場合は、血液検査などでチェックする必要があります。
月経前症候群(PMS)
女性の場合、月経前にホルモンバランスの乱れにより、眠気が強くなる場合があります。
PMSによる眠気はホルモン変動に加え、気分の不安定さや夜間の中途覚醒なども関係しており、日常生活に支障をきたす恐れもあります。
こんな眠気は受診のサイン!専門医に相談すべき3つの目安
セルフケアを続けても改善しない場合、どのタイミングで病院へ行けばよいか迷う方もいるでしょう。
以下のようなサインが見られたら、専門医への相談をお勧めします。
目安① 日常生活に深刻な支障が出ている
以下のように、眠気が原因で実生活に支障や危険が及んでいる場合は、受診すべきサインです。
- 仕事でのミスが明らかに増えた
- 会議の内容が全く頭に入らない
- 運転中に強い眠気に襲われ、ヒヤリとした経験がある
目安② 睡眠中の異常を家族などから指摘された
自分では気づきにくいのが睡眠中の状態です。
「毎晩、いびきがうるさい」「寝ているときに、息が止まっているようで心配になる」といった指摘をご家族やパートナーから受けた場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が非常に高いと考えられます。
これは専門的な検査・治療が必要な状態です。
目安③ セルフケアを続けても変化がない
この記事で紹介した生活習慣の改善などを真剣に取り組んでみても、日中の眠気に全く変化が見られない場合は医療機関の受診を検討しましょう。
その眠気は単なる生活習慣の問題ではない可能性があります。
我慢を続けず、原因を特定するためにも一度専門医の診察を受けましょう。
耐えられない眠気の裏に潜む「睡眠時無呼吸症候群」
日中の異常な眠気を引き起こす病気の中で、特に見過ごされやすく、かつ放置すると危険なのが「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」です。
SASだとなぜ昼間に猛烈に眠くなるのか?
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、寝ている間に何回も呼吸が止まっています。
そのたびに脳は酸欠を感知し、身体を起こそうと覚醒します。
本人はぐっすり寝ているつもりでも、脳は一晩中「溺れては覚醒」を繰り返しているような状態です。
これでは脳も身体も全く休まらず、深刻な睡眠不足が蓄積し、日中に耐えられないほどの眠気となって現れます。
あなたも当てはまる?SASのセルフチェックリスト
以下のような症状がある場合は、SASの可能性が考えられます。
当てはまる場合、専門の医療機関への相談をお勧めします。
SASを放置する危険性
SASを放置した場合、慢性的な酸素不足が心臓や血管に負担をかけることで、高血圧、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病といった生活習慣病の発症リスクを高めることが知られています。
また、日中の強い眠気は、交通事故や労働災害を引き起こすリスクも非常に高く、社会生活にも大きな影響を及ぼします。
まとめ
今回は、昼間の耐えられない眠気の原因や対策について解説してきました。
昼間の耐えられない眠気の原因は、生活習慣から専門的な治療が必要な病気まで様々です。
まずは仮眠や生活習慣の見直しを試してみてください。
しかし、それでも改善しない「異常な眠気」は、決して気合で乗り切るものではありません。
それは、専門家と共に解決すべき、身体からの大切なサインです。
当院では、睡眠を専門とする医師が診察を行い、その原因を探るとともに、患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療法をご提案します。
一人で悩まず、スッキリとした毎日を取り戻すために、ぜひ一度ご相談ください。
いびき・睡眠時無呼吸症候群外来について
よくある質問
パワーナップ(仮眠)は30分以上寝るとダメですか?
30分以上眠ると、脳が深い眠りに入ってしまうため、起きたときに強い眠気やだるさが残る「睡眠慣性」という状態になりやすいです。
かえってパフォーマンスが落ちてしまうため、仮眠は15〜20分程度に留めるのが最も効果的です。
カフェインが効かない体質でも、眠気を覚ます方法はありますか?
はい、あります。
冷たい水で顔を洗ったり、ミント系のガムを噛んだりして交感神経を刺激する方法が手軽です。
また、短時間でも外に出て太陽の光を浴びたり、誰かと会話をしたりすることも、脳を覚醒させるのに役立ちます。
週末に「寝だめ」をするのは、眠気対策として効果がありますか?
一時的な睡眠不足の解消にはなりますが、根本的な解決にはなりません。
むしろ、平日と休日の起床・就寝時間が2時間以上ずれると、体内時計が乱れてしまい、月曜日の朝に身体がだるくなる「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)」の原因になります。(4)
休日の寝坊は、普段より2時間以内にしておくのが理想です。
【参考文献】
(1)日本睡眠学会 睡眠周期と生体リズム:本間研一
(2)昼寝の功罪とパワーナップ
(3)The effect of caffeine on subsequent sleep: A systematic review and meta-analysis
(4)休日の夜ふかし朝寝坊に注意!2時間を超える「ソーシャル・ジェットラグ」で睡眠の質低下
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