
「家族にいびきがうるさいと言われる」
「日中、なんだか眠くて集中できない」
と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
いびきは、単にうるさいだけではなく、健康を脅かす危険なサインかもしれません。
特に、睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」が隠れている場合、放置するとさまざまな生活習慣病のリスクを高めることが知られています。
この記事では、いびきの原因から、治療が必要な危険ないびきの見分け方、そして当クリニックでも採用しているCPAP(シーパップ)療法をはじめとする主な治療法を解説します。
そのいびき、大丈夫?放置が招く「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」のリスク
ここでは、危険ないびきのサインとSASの怖さについて詳しく見ていきましょう。
単純ないびきと危険ないびきの違い
いびきには、一時的なものと慢性的なものがあります。
疲れている時やお酒を飲んだ後にたまにかく程度であれば、それほど心配いらない「単純性いびき症」かもしれません。
しかし、毎晩のように激しいいびきをかき、特にいびきの途中で呼吸が止まったり、苦しそうに息をしたりする様子が見られる場合は注意が必要です。
これらは、睡眠の質を著しく低下させ、健康に悪影響を及ぼす「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」のサインである可能性が高いのです。
ただし、違いはあるものの個人での判断が難しいため、気になる方は医療機関への受診をおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?なぜ放置してはいけないのか
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、文字通り、睡眠中に呼吸が一時的に止まったり(無呼吸)、浅くなったり(低呼吸)する状態を繰り返す病気です。(1)
SASを放置すると、高血圧、心筋梗塞や狭心症といった心疾患、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病を発症・悪化させるリスクが数倍にも高まると多くの研究で明らかになっています。(2)
また、日中の激しい眠気は、交通事故や労働災害の原因となる場合もあり、社会生活にも大きな影響を及ぼしかねません。
たかがいびきと軽視せず、早期の発見と適切な治療が非常に重要です。
これってSASかも?見逃せない主な症状・サイン
以下のような症状に心当たりはありませんか?
これらはSASが疑われる代表的なものです。
複数当てはまる場合は、専門医への相談をおすすめします。
なぜいびきをかくの?主な原因を解説
いびきは、鼻のトラブルから生活習慣まで様々な原因が考えられます。
ご自身の状況と照らし合わせてみましょう。
いびきのメカニズム:気道が狭くなることが根本原因
いびきは、眠っている間に空気の通り道である「上気道(鼻からのどにかけての部分)」が何らかの原因で狭くなり、そこを空気が無理に通過しようとするときに、のどや舌の付け根などの粘膜が振動して起こる音です。
つまり、気道が狭くなればなるほど、いびきは大きくなりやすく、完全に塞がってしまうと無呼吸状態に至ります。
気道が狭くなる要因
気道が狭くなる主な原因は、大きく分けて4通り考えられます。
- 鼻のトラブル
- 喉のトラブル
- 生活習慣
- その他
鼻のトラブルの例
| アレルギー性鼻炎、花粉症 | 鼻呼吸がしにくくなると、口呼吸になりやすく、いびきの原因となる。 |
|---|---|
| 副鼻腔炎(蓄膿症) | 鼻づまりや後鼻漏(鼻水がのどに落ちる)を引き起こし、気道を狭める。 |
| 鼻中隔湾曲症 | 左右の鼻腔を仕切る壁(鼻中隔)が強く曲がっていると、片方または両方の鼻の通りが悪くなる。 |
| 鼻ポリープ(鼻茸) | 鼻の中にキノコのような良性の腫瘍ができ、鼻腔を塞いでしまう。 |
喉のトラブルの例
| 肥満 | 体重が増加すると、首周りやのどの内側にも脂肪がつき、気道を圧迫して狭くする。 |
|---|---|
| 扁桃肥大 アデノイド肥大 | のどの奥にある扁桃腺や、鼻の奥にあるアデノイド(咽頭扁桃)が大きいと、空気の通り道を物理的に狭める。 |
| 舌根沈下 | 睡眠中は筋肉が弛緩するため、舌の付け根(舌根)がのどの奥に落ち込みやすくなり、気道を塞ぐ。 |
| 口蓋垂や軟口蓋が 大きい・長い | 口蓋垂やその周辺の軟口蓋が生まれつき大きかったり長かったりすると、振動しやすく、また気道を狭める原因になる。 |
生活習慣が原因となる例
| 飲酒 | アルコールは筋肉を弛緩させる作用があるため、舌やのどの筋肉が緩んで気道が狭くなりやすくなる。 |
|---|---|
| 睡眠薬 精神安定剤の一部 | 筋弛緩作用のある薬は、飲酒と同様に気道を狭くする可能性がある。 |
| 喫煙 | タバコの煙はのどや気道の粘膜に炎症を引き起こし、腫れさせるため気道を狭くする。また、痰も出やすくなり、いびきの原因となる。 |
| 過労・ストレス | 疲労やストレスが溜まると、自律神経のバランスが乱れ、筋肉の緊張が取れにくくなったり、深い睡眠が得られにくくなったりしていびきに繋がるケースがある。 |
その他の原因
| 加齢 | 年齢とともに全身の筋肉が衰えるのと同様に、のどの周りの筋肉もたるみ、気道が狭くなりやすくなる。 |
|---|---|
| 骨格的特徴 | 顎が小さい、下顎が後退している、首が短いといった骨格的な特徴も、気道が狭くなりやすい要因となる。 |
これらの原因は一つだけとは限らず、複数が絡み合っていびきやSASを引き起こしているケースも少なくありません。
いびきの検査・診断:適切な治療への第一歩
いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合、まずは専門医による正確な検査と診断が不可欠です。
まずは専門医に相談を:受診するなら何科?
いびきやSASが疑われる場合、自己判断せずに専門の医療機関への受診が大切です。
主な診療科としては、睡眠を専門とした外来や耳鼻咽喉科、呼吸器内科などがあります。
当クリニックのいびき・睡眠時無呼吸症候群外来では、いびきの原因特定からSASの診断、そしてCPAP療法まで一貫して対応可能です。
まずはお気軽にご相談ください。
診断の流れ:SASの有無と重症度を正確に把握
当クリニックでは、まずご自宅で手軽に受けていただける在宅での簡易検査(簡易睡眠ポリグラフィー検査)でSASのスクリーニングを行います。
この検査は、睡眠中の呼吸の状態や血中の酸素濃度などを測定し、SASの可能性や重症度を把握するためのものです。
具体的な診断の流れは以下の通りです。
1 問診・診察
2 検査のお申し込みと準備
3 ご自宅での検査実施
4 検査機器の回収と解析
5 結果説明
当クリニックの在宅PSG検査のメリット
- ご自宅で普段通りにリラックスして検査を受けられるため、より正確な睡眠データが得られやすいです。
- 入院費用などがかからず、患者様の経済的なご負担を軽減できます。
- 急なお申し込みにも対応しやすく、診断までの期間を短縮できます。
- 万が一、検査時にセンサーが外れてしまった場合でも、追加料金なしで再検査を実施できます。
いびきの治療法:あなたに合った治療法を見つけよう
ここでは、いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法について解説します。
生活習慣の改善
いびきや軽症のSASの場合、治療も大切ですが生活習慣の改善も重要です。
以下の生活習慣を心がけましょう。
- ご減量
- 禁酒・節酒
- 禁煙
- 寝る姿勢の工夫
- 寝室環境の整備
減量すると首周りの脂肪が減り、気道の圧迫が軽減されます。
数キロ痩せるだけでも効果が見られる場合があります。
喫煙は気道の炎症を引き起こすため、禁煙が望ましいです。
仰向けで寝ると舌根が沈下しやすいため、横向きで寝るように心がけましょう。
適切な高さの枕を選ぶ、加湿器で部屋の湿度を保つなども、いびき軽減に繋がるケースがあります。
これらの対策は、CPAP療法などの専門的な治療の効果を高める上でも非常に重要です。
CPAP(シーパップ)療法
中等症から重症のSASと診断された場合に、効果の高いとされているのがCPAP療法です。
CPAP(シーパップ:Continuous Positive Airway Pressure、持続陽圧呼吸療法)治療とは、睡眠時に気道が塞がるのを防ぐために、一定の圧力で空気を送り込む装置を使用する治療法です。(1)
治療ガイドラインにおいてもSASに対する推奨度が高い治療になります。(1)
マウスピース
マウスピース(スリープスプリントとも呼ばれます)は、主に軽症から中等症のSAS、またはいびき症の患者さんに用いられる治療法です。
歯科医に作成してもらい、睡眠中に装着します。
この装置は、下顎を数ミリ前方に引き出し、舌の付け根が気道に落ち込むのを防いで、気道を広げる効果を期待するものです。
CPAP療法が体質的に合わない方や、旅行時などCPAP装置の持ち運びが難しい場合の代替療法として選択されるケースもあります。
効果には個人差があり、顎関節症の方など適応とならない場合もあります。
外科的手術
外科的手術には、鼻の手術と、喉の手術があります。
- 鼻の手術: 鼻中隔弯曲症矯正術、下鼻甲介切除術、鼻茸切除術などがあり、鼻の通りを改善します。
- 喉の手術: 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)やレーザーを用いた口蓋垂形成術(LAUPなど)があり、のどの奥の余分な組織を切除して気道を広げます。扁桃腺が大きい場合は扁桃摘出術も行われます。
鼻炎などに対する対症療法
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などによる鼻づまりがいびきの原因となっている場合、ステロイド点鼻薬や抗ヒスタミン薬などが処方されます。
これらは鼻の炎症を抑え、鼻の通りを良くするため、いびきの軽減に繋がりますが、あくまで鼻症状に対する対症療法であり、SASそのものを根本的に治療するものではありません。
SASの診断がなされている場合は、CPAP療法などの主治療と並行して用いられる場合があります。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、日中のQOL(生活の質)を著しく低下させるだけでなく、放置すれば深刻な生活習慣病を引き起こすリスクを高めます。
しかし、適切な検査と診断を受け、あなたに合った治療法を見つければ、これらの問題に大幅な改善が期待できるでしょう。
当クリニックでは、患者様一人ひとりに寄り添い、最適な治療法をご提案し、快適な睡眠と健康な毎日を取り戻すお手伝いをさせていただきます。
いびきや睡眠中の無呼吸でお悩みの方は、決して一人で抱え込まず、まずは専門医にご相談ください。
いびき・睡眠時無呼吸症候群外来について
よくある質問
家族にいびきを指摘されました。受診のタイミングは?
毎晩のようにいびきをかく、いびきの途中で呼吸が止まる、日中の強い眠気がある場合は早めの受診をおすすめします。
放置すると健康リスクが高まる場合も。
まずは専門医に相談し、原因や状態の正確な把握が大切です。
いびきをかかなくなるために、すぐにできることはありますか?
横向き寝を試す、寝酒を控える、適切な枕を使う、鼻詰まりがあれば市販の点鼻薬を使う等が試せます。
ただしこれらは対症療法です。
原因や重症度により効果は異なるため、改善しない場合は専門医にご相談ください。
いびき治療に保険は適用されますか?費用はどれくらい?
睡眠時無呼吸症候群と診断されれば、CPAP療法や一部の手術、マウスピース治療は保険適用です。
自己負担額は治療内容や検査により異なりますが、CPAP療法の場合、月数千円程度が目安です。詳細は医療機関にご確認ください。
参考文献
(1)日本呼吸器学会. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020.
(2)日本内科学会雑誌 第100巻 第9号・平成23年 9月10日
福永記念診療所の
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