
「いびきの治療法にマウスピースがいいと聞いた」
「マウスピースはいびきの改善に効果がない」
などいびき対策のマウスピースに疑問を持つ方もいるのではないでしょうか?
いびきは単なる騒音ではなく、睡眠の質を低下させ、日中の集中力や健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
その対策として注目されているのが「マウスピース(スリープスプリント)」です。
そこで本記事では、いびき改善におけるマウスピースの効果やメリット・デメリット、医療用と市販品の違い、保険適用の条件などを詳しく解説します。
正しい知識を得て、あなたやあなたの大切な人のいびき問題を改善し、質の高い睡眠を目指すための一歩を踏み出しましょう。
いびきの原因とマウスピースの役割
いびきの主な原因は、以下と考えられます。
- 睡眠中に喉の奥にある空気の通り道(上気道)が狭くなる
- そこを空気が通過する際に、喉の粘膜や舌の付け根(舌根)などが振動して音を発する。
いびき対策用マウスピースは、特に「舌根沈下」や「下顎が後退しているために生じる気道の狭窄」に対して効果を発揮しやすいと言われています。
マウスピースは、睡眠中に下顎を数ミリ程度前方に移動させ、その位置で固定する仕組みです。
これにより、舌が気道に落ち込むのを防ぎ、上気道のスペースを広げて空気の通りをスムーズにし、いびきの発生を抑える、あるいは軽減する効果が期待できます。
マウスピースのメリット
ここでは、歯科医院で作製されるマウスピースのメリットを5つ解説します。
いびき音の軽減と睡眠の質の向上
マウスピースの最大のメリットは、いびき音そのものを軽減させる効果が期待できる点です。
下顎を前方に適切に保持するため、気道が物理的に広がり、いびきの音量が小さくなったり、いびきをかきにくくなるケースも少なくありません。
いびきが改善されると、深い睡眠を得やすくなります。
その結果、日中の眠気や疲労感が軽減され、集中力や作業効率の向上にも繋がるでしょう。
軽度~中等度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)への効果
マウスピース(スリープスプリント)は、SASのうち、特に軽度から中等度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対して有効な治療法の一つとして認められています。(1)
気道を確保して無呼吸や低呼吸の回数を減らし、血中酸素濃度の低下を防ぐ効果が期待できます。
これにより、SASに伴う様々な健康リスクの低減にも貢献します。
携帯性に優れ、旅行先などでも手軽に使用可能
マウスピースは非常に小型で軽量です。
専用のケースに入れておけば、カバンの中に手軽に収納でき、旅行や出張、帰省などの際にも負担なく携帯できます。
歯ぎしり・食いしばりの負担軽減効果も期待できる(スプリントタイプの場合)
歯科医院で作製するマウスピースの中には、いびき防止機能に加えて、歯ぎしりや食いしばりから歯と顎関節を保護する「スプリント」としての役割を兼ね備えたタイプもあります。
いびきと歯ぎしりの両方にお悩みの方にとっては、一石二鳥の効果が期待できる場合があります。
比較的導入しやすい治療選択肢
いびきの原因によっては、扁桃腺の切除や鼻の手術といった外科的治療が検討される場合もあります。
しかし、手術には身体的な負担や入院、ダウンタイムなどが伴います。
マウスピース治療は、外科手術に比べて身体への負担が格段に少ない治療法です。
手軽に始められ、効果が得られれば継続しやすいため、導入のハードルが低い治療選択肢の一つです。
マウスピースのデメリットと注意点
残念ながらマウスピースは万能ではなく、デメリットや注意点も存在します。
以下に解説していきます。
副作用や不快感の可能性(顎関節痛、歯痛、異物感など)
マウスピースを装着し始めの頃は、以下のような副作用や不快感が出る場合があります。
- 顎関節の痛みやだるさ
- 歯や歯茎の痛み、圧迫感
- 唾液の増加、または口の渇き
- 異物感、吐き気
- 朝起きたときのかみ合わせの違和感
このような症状の多くは、一般的に数日から数週間で、慣れて軽減していきます。
しかし、痛みが強かったり、長期間症状が改善しなかったりする場合は、無理に使用を続けず、必ず作製した歯科医師に相談してください。
すべての人・すべてのいびきに効果があるわけではない
マウスピースは、主に舌根沈下や下顎の後退が原因で気道が狭くなるタイプのいびきに効果を発揮します。
そのため、以下のようなケースでは、マウスピースの効果が限定的であったり、適応とならなかったりする場合があります。
- 鼻づまりが主原因のいびき
- 重度の睡眠時無呼吸症候群(重症例ではCPAP療法が第一選択となる場合が多い)
- 扁桃腺やアデノイドが極端に大きい場合
- 中枢性の睡眠時無呼吸症候群
また、効果の現れ方には個人差があり、期待したほどいびきが改善されない場合もあります。
長期使用による影響と定期的なメンテナンスの必要性
定期的なチェックや調整を怠ると、以下のような問題が生じるリスクがあります。
- 歯並びやかみ合わせの変化
- 顎関節症の悪化
- マウスピースの劣化・破損
マウスピースは、歯科医師による定期的なチェックが不可欠です。
歯科医師がかみ合わせの状態、歯や歯周組織の状態、マウスピースの適合性や破損の有無などを確認し、必要に応じて調整や修理、再作製を行います。
これにより、安全かつ効果的に治療が継続できます。
医療用(歯科医院製)と市販品の違い
いびき対策用マウスピースには、大きく分けて「医療用(歯科医院で作製するオーダーメイド品)」と「市販品」の2種類があります。
| 医療用(歯科医院製) | 市販品 | |
|---|---|---|
| フィット感 | 個々に合わせて精密に作製 高いフィット感 | 完全な適合は難しい |
| 効果 | 比較的高い効果が期待できる | 効果は限定的・不安定・個人差が大きい |
| 安全性・副作用 | 専門家管理下で調整 副作用が出た場合も対応可能 | 自己責任での使用 副作用が出ても専門的サポートなし |
| 費用 | 比較的高額 保険適用の場合、3割負担で約1〜2万円。 | 比較的安価(数千円~1万円) |
| 入手方法 | 歯科医院へ数回の通院が必要 | ドラッグストアやインターネット通販で手軽に購入可能 |
| 調整 | 歯科医師による精密な調整が可能 | 専門的な調整は不可能 |
| SASへの対応 | 軽度~中等度SASの治療法として医師の診断に基づき使用 | SASの診断・治療目的での自己判断使用は危険 SASを見逃す・悪化させるリスクあり。 |
市販品は手軽に試せるというメリットはありますが、自分の歯並びや顎の状態、いびきの原因に合っているかどうかの判断が難しく、効果が得られないばかりか、かえって顎関節や歯に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。
いびきがひどい方や睡眠時無呼吸症候群の疑いがある方は、自己判断で市販品を使用するのではなく、専門の医療機関を受診し、適切な診断とアドバイスを受けることをおすすめします。
保険適用の条件と費用
保険適用となる最も重要な条件は、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されていること」です。
具体的には、以下の流れで保険適用が判断されるのが一般的です。
1 専門医(睡眠外来、耳鼻咽喉科、呼吸器内科など)の受診
2 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査
3 SASの診断と治療方針の決定
医師がSASと診断し、マウスピース治療が適切と判断した場合、医師からの紹介状(診療情報提供書)があれば、歯科医院でのマウスピース作製が保険適用となります。
マウスピースが向いている人、向いていない人
ここでは一般的な目安として、マウスピース治療が向いていると考えられる人と、向いていない、あるいは慎重な判断が必要な人について、以下の表にまとめました。
| マウスピースが向いている と考えられる人 | マウスピースが向いていない または 慎重な判断が必要な人 |
|---|---|
| 軽度~中等度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(SAS)と医師に診断された方 | 重度のSASの方(一般的にCPAP療法が第一選択となります) |
| 仰向けで寝るといびきが悪化し、舌根沈下や下顎が小さい・後退が原因と考えられるいびきの方 | 鼻づまりがひどく、常に口呼吸をしている方 |
| 比較的歯が健康で、上下顎に十分な数のしっかりした歯がある方 | 歯がグラグラしている方、多数の歯がない方、大きなブリッジや不安定な義歯を使用している方 |
| 顎関節に大きな問題(重度の顎関節症、開口障害、強度の疼痛など)がない方 | 重篤な顎関節症の症状がある方(症状が悪化する可能性があります) |
| CPAP療法が体質的に合わない、副作用が強い、または継続が困難な方 | 受け口(反対咬合)の方や、極端に顎が小さいなど、マウスピースの構造上、適切な下顎位での固定が困難な顎の形状の方 |
| 日中の眠気や集中力低下、起床時の頭痛などに悩んでおり、その原因がいびきや軽度~中等度SASにあると診断された方 | 神経質で、口の中が気になり眠りにくくなってしまう方 |
| 歯科医師による定期的な調整やメンテナンスに通院できる方 | 自己管理が難しい方、指示を守れない方 |
※この表はあくまで一般的な目安です。
ご自身がマウスピース治療に適しているかどうかは、必ず専門の医師または歯科医師による診察と検査を受けて判断してもらう必要があります。
まとめ
いびきは単なる生活音の問題にとどまらず、睡眠の質や健康リスクに深く関わる重要なサインです。
マウスピース(スリープスプリント)は、下顎を前方に誘導して気道を広げるため、いびきや軽度〜中等度の睡眠時無呼吸の改善効果が期待できます。
CPAPと比べて装着の負担が少なく、旅行先などでも使いやすいため、生活に取り入れやすい点が魅力です。
しかし、すべての人に適しているわけではないため、使用を検討する際はまず医師の診察と睡眠時無呼吸症候群の検査を受けましょう。
当院のいびき・睡眠時無呼吸症候群外来では、専門医の適切な診断とアドバイスにより、患者様の睡眠の質の向上を目指し、日常生活を送れるようサポートしております。
ご自身やご家族にSASの症状がみられる場合は、お気軽にお問い合わせください。
いびき・睡眠時無呼吸症候群外来について
よくある質問
マウスピースを使うとすぐいびきは改善しますか?
個人差はありますが、装着初日から数週間でいびきの軽減効果を実感できる方が多いです。
完全に慣れて効果が安定するまでには少し時間がかかる場合もあります。
効果の程度や期間は、いびきの原因やマウスピースの種類、適合状態によって異なります。
市販のマウスピースでも、歯科医院で作るものと同じような効果が期待できますか?
一般的に、市販品で歯科医院製と同等の効果を得るのは難しいです。
市販品は個々の歯並びや顎の状態に完全に適合しないため、効果が不安定、顎関節や歯に負担をかける、等のリスクも考えられます。
確実な効果と安全性を求めるなら、専門医に相談の上、歯科医院での作製がおすすめです。
いびきがひどいのですが、マウスピースを使えば睡眠時無呼吸症候群も治りますか?
マウスピースは軽度~中等度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(SAS)に有効な場合がありますが、自己判断は危険です。
まず専門医でSASの有無と重症度を正確に診断してもらいましょう。
診断結果に基づき、適切な治療法が何かを医師が判断します。
参考文献
福永記念診療所の
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